アイドルと繋がった

アイドルと繋がりました。


繋がりになるまでのことや、そのアイドル(以降:Aちゃん)と純粋なオタクだった頃のぼく(成田凌)の様子を書いてしまうとぼくが誰なのか、Aちゃんが誰なのか分かってしまう人がいるかもしれないので書きません。しかし、1人で抱えていられなくなってしまったので、ここに綴ることにしました。

推敲も読み返しもなしの文章だし、得るものはないうえ長いです。



アイドル現場から離れていたある日、友人からラインがきました。

【この子知ってる?】

その後に届いた画像は、ぼくが好きなアイドルグループのメンバー、Aちゃんのプラベ用インスタと思われるアカウントのスクショでした。

【〇〇ってグループのAちゃん?】

そう聞くと、【そう、俺ともだちなんだよね。俺のインスタに成田凌がタグ付けされてるの見て『この人と友達?連絡取りたいんだけど』ってライン来た】と返事がきました。


まず、ぼくの推しメンはAちゃんではなく違うメンバーです(Cちゃんとしておきます)。でも歌もダンスも上手くてライブ中によくぼくのことを構ってくれるAちゃんのことを、ぼくはライブ中よく目で追っていて、何度か推し変を考えたこともありました。なんなら、興味本位で接触に行って謎のガチ恋対応をされ、病んだのが2ヶ月前の出来事です(それで病んだ結果ぼくは現場から離れました)


なぜぼくと連絡を取りたいんだろうと考えを張り巡らせつつも、何よりも好奇心でぼくはそれをオーケーしました。

最初は友人からスクショで送られてきたインスタアカウントからぼくのインスタにDMが届きました。

【会いたいんだけど】断る理由もなくその晩ぼくたちは食事をし、そのままAちゃんの家へ行きました。


Aちゃんのいるグループはそこそこ人気がありライブやイベントで多忙そうでしたが、Aちゃんは時間を作っては積極的に機会を作ってくれました。

ぼくがAちゃんに対して恋であるとか愛であるとかそういうものを抱いていたかは微妙なところです。その頃のぼくの大半を占めていたのは「何も知らないオタクたちへの優越感」でした。

Aちゃんはぼくと夜を過ごしているのに、オタクたちは何も知らずにAちゃんに好きだとかなんだとかとリプライやコメントを飛ばしたり愛を綴ったツイートをするのです。惨めにすら思いました。


そんな関係も3ヶ月ほど経ち、その状況にぼくが飽きはじめてしまいました。Aちゃんの意図もわからない、セフレなのか、本当にぼくのことを好きだと思っているのか。アイドルと繋がるとはなんなのか。疲れ始めた頃、Aちゃんは【なんで連絡くれないの?】【なんで会ってくれないの?】【わたしのこと嫌い?】と面倒なラインを送ってくることが増えました。


【ごめん、もう会うのやめよう】

そう送ると【わかった】と、短く返事が返ってきました。


そのラインをした1ヶ月ほど後、以前チケットを予約してもらっていたので、繋がってから自然と足が遠のいていた現場へ向かいました。Aちゃんは繋がる前と変わらず、今まで通り謎の構い方をしてくれました。再度書きますが、ぼくはAちゃんのオタクではありません。


ライブの数日後、【来てくれてありがとう、久々に顔見れて嬉しかった。もう一回会えない?】とラインがきました。

ライブを見ながら、どうしてもあの頃のことを思い出してしまった自分がいました。Aちゃんも同じだったようで、食事をしながら「あれやったのわかった?」「やっぱり気にしてみちゃうわ」とライブのときの心境を話してくれました。

8月のイベントのチケットを渡しながら、「また見にきてよね」と笑ってくれました。


そのあと、ぼくはいろいろなことを考えました。

またここ数ヶ月の関係に戻るのか。それとも、もっと前に戻るのか。ぼくの結論は後者でした。オタクとして見ているAちゃんが好きでした。意図の全くわからないレスをしてくるステージ上のAちゃんを見るのがぼくは好きでした。


そうAちゃんにラインで伝えて、ぼくはAちゃんをブロックしました。

戻れると思っていました。うまいこと戻れると思っていたのですが、そんなわけはありませんでした。


数ヶ月後、何の気なしにそのグループの接触に行きました。推しのCちゃんと久々だね何してたのなどと会話をして、ふらっとAちゃんの列へ向かいました。今思うとデリカシーがなかったかもしれません。

「何しにきたの?」「なんか言うことない?」

そう言われて、ようやく「あっそうか」と気付きました。前みたいに戻れるわけがなかった。それはそうだ。


それでもぼくはそもそもAちゃんではなくCちゃんのオタクです、と開き直りました。

周りになんて思われるかは知りませんが(Aちゃんと繋がったことはその現場を他界済だった友人数名には伝えました)Aちゃんは別に知ったこっちゃないじゃん。ぼく、Cちゃんのオタクじゃん。

と思いつつも気まずさでまた足が遠のいたのは事実です。そこから僕が現場に行くまで、半年ほどありました。それが2ヶ月ほど前のことです。

後方だし気付かれないだろう、そう思っていたら予想よりもメンバーが近くへ来ることがあり、Aちゃんはぼくに気付きました。「まずい」そう思ったのは一瞬で、Aちゃんは変顔でわたしを指差しながら歌っていました。ぼくが持ってるペンライトはAちゃんの担当カラーのピンクでもなんでもなくて、Cちゃんの担当カラーのオレンジなのに。昔みたいに、ああなる前と同じように。

嬉しくて涙が出そうになりました。


そしてそれから1ヶ月半ほど経ったのが、ぼくが行った一番最近の現場です。

久々の前方席でCちゃんを見れるのが楽しみで仕方ありませんでした。Aちゃんのことはあるけどお互いのためにも気にせずに久々の良席を楽しもうとし、実際めちゃくちゃ楽しみました。

ただやっぱり長時間Aちゃんが自分の0ズレにいるとお互いに謎の気まずさがありながらチラチラ見てしまうし、と思ったら突然Aちゃんが振り切れて爆レスをしてきたり。昔みたいだと、いろんなことを忘れて素直にぶち上がりました。


ああ、今日のライブすげえ楽しかった。あの頃みたいだ。そう思いながらツアーラストの曲がはじまりました。それは最近の曲でぼくはそれを聞くのが2回目とかだったんですが、すごくいい曲で「ぼくはずっとこのグループのオタクでいたい」「このグループが好きだ」と思いながらみんなが歌い踊っているのを見ていました。


曲の終盤、Aちゃんからなんとも言い難い不思議なレスをもらいました。

その瞬間なぜか、グループを好きになってAちゃんを気にするようになってからのこと、いろんなライブでの出来事、接触での出来事、繋がってからの事、たくさんのことがフラッシュバックして涙が止まらなくなっていました。

ぼくは間違っていたのか。そもそもCちゃん推しなのにAちゃんを目で追うことが昔から多かったことも。そのことでCちゃんに怒られて何度も喧嘩したことも。それでもずっとAちゃんから来る謎のレスを喜んでいたことも。

そこまではともかく、繋がってしまったことは間違いだったのかと。

そのあとつながりを切り、現場に戻ってきたこともやっぱり間違いだったのかと。

あの頃に戻れるわけがなかったのに。


それからいくらか経ちましたが、まだぼくは何をどうするべきだったのか、何が正解だったのか、また現場に行っていいものなのかが分かっていません。Aちゃんはそこまで気にしていないのかもしれません。ぼくが自意識過剰なだけかもしれません。

ただただ女々しくて、どうしようもない長文を書き散らかしてしまいすみません。


もう繋がらない、そう思いながらもぼくはまた、自分が応援していた人と関係を持ってしまっているのですが。